日本キリスト改革派札幌教会

第70問、71問

問70 第七戒は、どれですか。


答 第七戒はこれです。「あなたは姦淫してはならない」。

問71 第七戒では、何が求められていますか。


答 第七戒が求めている事は、心、会話、振舞において、私たち自身と隣人の貞潔を守ることです。

「第七戒が求めている事」


 ウエストミンスター大教理問答(問138)は、次のように教えます。


1)体、精神、感情、言葉、行動の純潔を、自分自身と他人の間で保持すること。

「おのおの汚れのない心と尊敬の念をもって妻と生活するように学ばねばならず、
 神を知らない異邦人のように情欲におぼれてはならないのです。」(第一テサロニケ
 4:4-5) 

「いつも塩で味付けされた快い言葉で語りなさい。そうすれば、
 一人一人にどう答えるべきか分かるでしょう。」(コロサイ4:6)


2)目やすべての感覚に注意深くあること。 

「わたしは自分の目と契約を結んで
 いるのに、どうしておとめに目を注いだりしようか。」(ヨブ31:1)


③節制、きよい交際を守ること


④服装の質素さ 

「あなたがたの装いは・・・柔和でしとやかな気立てという朽
 ちないもので飾られた、内面的な人柄であるべきです。このような装いこそ、
 神の御前でまことに価値があるのです。」(第一ペトロ3:3-4)


⑤禁欲の賜物がない人々の結婚


⑥夫婦愛、夫婦生活 

「あなたの水の源は祝福されよ。若いときからの妻に喜び
 を抱け。彼女は愛情深い雌鹿、優雅なかもしか。」(箴言5:18-19)


⑦自分の職分に忠実に働くこと。

「夫は心から彼女(妻)を信頼している。儲けに不足することはない。彼女は生涯
 の日々、夫に幸いはもたらすが、災いはもたらさない。」(箴言31:11-12)


⑧不潔へのすべての機会を避け、それへの誘惑に抵抗すること。

「彼女は毎日ヨセフに言い寄ったが、ヨセフは耳を貸さず、彼女の傍らに寝るこ
 とも、共にいることもしなかった。」(創世記39:10)


「あなたの道を彼女から遠ざけよ。その門口に近寄るな。」(箴言5:8)

第70、72問

問70 第七戒は、どれですか。


答 第七戒はこれです。「あなたは姦淫してはならない」。

問72 第七戒では、何が禁じられていますか。


答 第七戒が禁じている事は、すべてのみだらな思い、言葉、行動です。

「すべてのみだらな思い、言葉、行動」


 神は、人の心も隠れたこともご覧になります。実際の行動だけではなく、

「すべてのみだらな思い、言葉、行動」が禁じられています。「口から出て来るものは、心から出て来るので、これこそ人を汚す。・・・姦淫、みだらな行い・・・などは、心から出て来るからである。これが人を汚す。」(マタイ15:18-20)

「しかし、わたしは言っておく。みだらな思いで他人の妻を見る者はだれでも、既に心の中でその女を犯したのである。」(マタイ5:28)

「あなたがたの間では、聖なる者にふさわしく、みだらなことやいろいろの汚れたこと、あるいは貪欲なことを口にしてはなりません。卑わいな言葉や愚かな話、下品な冗談もふさわしいものではありません。それよりも感謝を表しなさい。」(エフェソ5:3ー4)

「第七戒が禁じている事」


 ウエストミンスター大教理問答(問139)は、次のように教えます。

1)姦淫・不品行・強姦・血族相姦・男色およびすべての不自然な欲情

2)すべての不潔な想像・思想・企て・感情

3)すべて汚れた卑わいな会話・またそれに耳を傾けること

4)みだらな態度・図々しい軽薄な行動・慎みのない服装・合法的結婚を禁止する
 こと・不合法な結婚を許可すること

5)娼婦を許可し黙認し蓄えること・また売娼すること

6)独身生活へのとらわれた誓願・不当な結婚延期・同時に多妻または多夫を持つ
 こと

7)不正な離婚や配偶者廃棄

8)不健全な快楽にふけること・暴食・泥酔・不貞な交際

9)みだらな歌・本・絵・踊り・演劇・その他自分自身や他人に汚れを挑発したり
 行ったりするすべてのこと


 世にあって、十戒は自由を縛るもののように誤解されがちです。特に第七戒はそのように誤解されているのではないかと思います。しかし、むしろ十戒にこそ、自由があることを学びたいと思います。道に迷ったらいつでも、キリストを探し求めて、この道に帰ればよいのです。

「わたしの言葉にとどまるならば、・・・あなたたちは真理を知り、真理はあなたたちを自由にする。」(ヨハネ8:31-32)

第73、74問

問73 第八戒は、どれですか。


答 第八戒はこれです。「あなたは盗んではならない」。

問74 第八戒では、何が求められていますか。


答 第八戒が求めている事は、私たち自身と他人との富や生活状態を正当に確保し、向上させることです。

「第八戒が求めていること」


 ウエストミンスター大教理問答(問141)は、次のように教えます。

1)人と人との間の契約や取引において真実・誠実・公正であること

2)だれに対してもその義務を果たすこと

「すべての人々に対して自分の義務を果たしなさい。貢を納めるべき人には貢を納め、税を納めるべき人には税を納め、恐るべき人は恐れ、敬うべき人は敬いなさい。」(ローマ13:7)

3)正当な所有者から不法に自分の手元に保留しているものを返還すること

4)自分の能力や他人の必要に応じて無償で与え、また貸すこと

5)この世の財産についての自己の判断・意志・感情に節度のあること

6)自分たちの性質を維持するのに必要かつ適切であり、自分たちの状態にふさわしいものを手に入れ、保持し、使用し、処理するための、見通しをもった心配りと研究

7)合法的な職業とその中での勤勉さ

8)倹約、不必要な訴訟と連帯保証、その他の同様ないろいろの債務を避けること

9)自分自身のものだけでなく、他の人々の富と財を、あらゆる正当で合法的な手段により、獲得し、保護し、増長する努力

「同胞の牛または羊が迷っているのを見て、見ない振りをしてはならない。必ず同胞のもとに連れ返さねばならない。」
(申命記22:1)

「あなたの敵の牛あるいはろばが迷っているのに出会ったならば、必ず彼のもとに連れ戻さなければならない。」
(出エジプト23:4)

第75問

問75 第八戒では、何が禁じられていますか。


答 第八戒が禁じている事は、何事であれ私たち自身または隣人の富や生活状態を不当に妨げる事、あるいはその恐れのある事です。

「第八戒が禁じていること」

  ウエストミンスター大教理問答(問142)は、次のように教えます。


1)求められている義務を無視すること(大教理問141、小教理問74参照)

2)窃盗、強奪、誘拐、盗品を受けること、詐欺行為、不正な計りを用いること、
 地境の移動。

3)人と人との間の契約や信用問題上の不正や不忠実。

4)しえたげ、ゆすり、高利、賄賂、人いじめな訴訟、不正な土地取得とそのため
 の住民追放。

5)価格引き上げのための必需品買占め。不合法な職業。隣人からその所有をとっ
 たり、あるいは自分を富ませるためのすべての罪深い方法。

6)貪欲。この世の財産を過度に喜び愛すること。それを獲得、保持、使用する場
 合の不信仰な取り乱した思い煩いや研究。他人の繁栄をねたむこと。

「だから、言っておく。自分の命のことで何を食べようか何を飲もうかと、また
 自分の体のことで何を着ようかと思い悩むな。・・・あなたがたの天の父は、こ
 れらのものがみなあなたがたに必要なことをご存じである。・・・だから、明日
 のことまで思い悩むな。明日のことは明日自らが思い悩む。その日の苦労は、
 その日だけで十分である。」(マタイ6:25、32、34)

7)怠慢、放蕩、浪費的なとばく、私たちが自分の生活状態を不当にそこなうその他すべての方法。

「快楽を愛する者は欠乏に陥り、酒と香油を愛する者は富むことがない。」
 (箴言21:17)

「大酒を飲むな、身を持ち崩すな。」(箴言23:20)

「空を追う者は乏しさに飽き足りる。」(箴言28:19)

8)自らを欺いて、神が私たちに与えてくださった財をふさわしく用いて楽しまな
 いこと。

「ひとりの男があった。
友も息子も兄弟もない。
際限もなく労苦し、彼の目は富に飽くことがない。
『自分の魂に快いものを欠いてまで、誰のために労苦するのか』と思いもしない。
これまた空しく、不幸なことだ。」(コヘレト4:8)

第76問、77問

問76 第九戒は、どれですか。

答 第九戒はこれです。「あなたは隣人について、偽証してはならない。」

問77 第九戒では、何が求められていますか。

答 第九戒が求めている事は、人と人との間の真実と、また私たち自身と
 隣人の名声とを、保ち、高めること、特に証言する時にそうすることです。

「第九戒が求めている事は」

ウエストミンスター大教理問答(問144)は、次のように教えます。

1)人と人との間の真実を保ち、高めること。

「あなたたちのなすべきことは次のとおりである。互いに真実を語り合え。」(ゼカリヤ8:16)


2)私たち自身の名声と同様に、隣人の名声を保ち、高めること。

「デメトリオについては、あらゆる人と真理そのものの証しがあります。わたしたちもまた証しします。」(第三ヨハネ12)


3)真理のために立ち、味方すること。


「あなたの口を開いて弁護せよ、ものを言えない人を、犠牲になっている人の訴えを。あなたの口を開いて正しく裁け、貧しく乏しい人を。」(箴言31:8、9)


4)裁判・正義・その他すべての事柄に関して、心から誠実に・自由に・明白に・十分に・真実を、そして真実のみを語ること。


5)隣人を心広く尊敬すること。(第一コリント13:7)

  彼らの名声を愛し願い喜ぶこと。(第二ヨハネ4、第三ヨハネ3、4)
  彼らの欠点を悲しみ包むこと。(第二コリント2:4、箴言17:9)
  彼らの才能や長所を心から認めること。(第一コリント1:4、5、7)
  彼らの潔白を擁護すること。(サムエル下22:14)
  彼らの好評を受け入れるに早く、悪評を認容するのに遅いこと。(第一コリント13:6、7)


6)陰口を言う者・へつらう者・中傷する者に水をさすこと。


7)自分自身の名声を大切にし、必要の場合にはそれを擁護すること。


8)すべて真実なこと・尊ぶべきこと・愛すべきこと・誉れあることを学び、実行すること。

第78問

問78 第九戒では、何が禁じられていますか。


答 第九戒が禁じている事は、何事であれ、真実を損なう事、
あるいは私たち自身や隣人の名声を傷つける事です。

    第九戒「あなたは隣人について、偽証してはならない。」

「第九戒が禁じている事は」


 ウエストミンスター大教理問答(問145)では、十戒の中でも特に詳細な答えが与えられています。いかに舌を制することが私たちの生活に広く関わって大切であり、同時に難しいかを示すかのようです。その前半部分のみを紹介します。


1)すべて真理と私たち自身や隣人の名声を、特に公のさばきにおいて傷つけるこ
と。偽りの証拠を与えること。意識して悪い申し立てのために立ちまた弁じる
こと。真理にいどみかかり抑圧すること、不正な宣告をくだすこと、悪を善と
呼び善を悪と呼ぶこと、悪人に義人のわざに対するように報い・義人に悪人の
わざに対するのと同じように報いること。

2)にせものを造ること。真理を隠すこと。正しいことについての不当な黙秘。不
正について私たち自身が非難するか、他の人に訴えるかすべきときにも黙って
いること。

3)場所柄をわきまえないで、または悪い目的のために悪意から、または悪い意味
に曲げて、または真理や正義を害するために疑わしいあいまいな表現で、真理
を語ること。

4)偽り。中傷。陰口。名誉毀損。うわさ話をふりまくこと。ひそひそ話。嘲笑、。
悪口。無分別で荒々しい不公平な批評。意図・言葉・行動の誤解。へつらい。
むなしい誇り。

5)自分自身や他人について過大または過小に考えたり語ること。神の賜物や恵み
 を否定すること。比較的ささいな過誤を重くすること。率直な告白の求められ
 ている場合に罪を隠し、言い訳し、軽くすること。弱点を不必要にあばくこと。


語る言葉の変化は、単なる舌先の変化ではありません。心の変化です。

「蝮(まむし)の子らよ、あなたたちは悪い人間であるのに、どうして良いことが言えようか。人の口からは、心にあふれていることが出て来るのである。」(マタイ12:34)

そして、その語る言葉に日々の生活の幸いがかかっています。(第一ペトロ3:10-11)