『ウエストミンスター小教理問答 問105』

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『ウエストミンスター小教理問答 問105』

『ウエストミンスター小教理問答 問105』 2012年7月8日

問105 第五の祈願(きがん)では、私たちは何を祈り求めるのですか。


答 「我(われ)らに罪を犯(おか)す者(もの)を我(われ)らがゆるすごとく、我(われ)らの罪をもゆるしたまえ」という第五の祈願(きがん)で私たちが祈る事は、神が、キリストのゆえに、私たちのあらゆる罪を一方的(いっぽうてき)にゆるしてくださるように、ということです。私たちは、神の恵(めぐ)みによって他人(たにん)を心からゆるせる者とされているので、なおさらこれを求(もと)めるように奨励(しょうれい)されているのです。



「我(われ)らに罪を犯(おか)す者(もの)を我(われ)らがゆるすごとく」


 自分に対して罪を犯す相手を心からゆるす人々は、その心の中に神の恵みの確かな証しを持つ人々です。キリストのたとえに従って言うなら、1万タラントンの借金を帳消しにしていただいたことを大切にして守り続ける人々です。そして、仲間が自分にした百デナリオンの借金をゆるす人々です。彼らは、神の恵みによって今日のわたしがあることを知っています。だから、神の恵み深い救いに対するいっそうの確信をもって、祈ります。

「我(われ)らに罪を犯(おか)す者(もの)を我(われ)らがゆるすごとく、我(われ)らの罪をもゆるしたまえ」


 「そこで、天の国は次のようにたとえられる。ある王が、家来たちに貸した金の決済をしようとした。決済し始めたところ、一万タラントン借金している家来が、王の前に連れて来られた。しかし、返済できなかったので、主君はこの家来に、自分も妻も子も、また持ち物も全部売って返済するように命じた。家来はひれ伏し、『どうか待ってください。きっと全部お返しします』としきりに願った。その家来の主君は憐れに思って、彼を赦し、その借金を帳消しにしてやった。ところが、この家来は外に出て、自分に百デナリオンの借金をしている仲間に出会うと、捕まえて首を絞め、『借金を返せ』と言った。仲間はひれ伏して、『どうか待ってくれ。返すから』としきりに頼んだ。しかし、承知せず、その仲間を引っぱって行き、借金を返すまでと牢に入れた。仲間たちは、事の次第を見て非常に心を痛め、主君の前に出て事件を残らず告げた。そこで、主君はその家来を呼びつけて言った。『不届きな家来だ。お前が頼んだから、借金を全部帳消しにしてやったのだ。 わたしがお前を憐れんでやったように、お前も自分の仲間を憐れんでやるべきではなかったか。』そして、主君は怒って、借金をすっかり返済するまでと、家来を牢役人に引き渡した。あなたがたの一人一人が、心から兄弟を赦さないなら、わたしの天の父もあなたがたに同じようになさるであろう。」
(マタイによる福音書18:21-35)